【エンジニアブログ】保守サービスと SAP FSM について

こんにちは。プロアクシアコンサルティングでビジネスソリューション事業部に所属しています 梶谷 です。
SAP のコンサルタントとして業務コンサルティング、プロジェクトの PM・PMO のデリバリー部門を担当しています。

今日は保守サービス業務(フィールドサービス)でどういったことが求められているのか、およびそれを支援するソリューションとして SAP 製品である SAP Field Service Management (SAP FSM) のご紹介をさせていただきます。

保守サービスについて

製品の製造・販売におけるバリューチェーンの最後尾に位置するのが保守サービス業務です。
販売した製品を長期にわたり安心してご利用いただくためには、製品の定期保守の実施と、障害発生時に早期対応できる体制を確保し、お客様の業務への影響を最小限にするための取り組みが必要になります。

これらの取り組みを継続して行うことで、顧客満足度を高めることができ、最終的に製品の受注・拡販につながってきます。

保守サービスの課題について

最近は色々な分野でグローバリゼーションが求められてきていることもあり、日本国内だけの固有のやり方が通じなくなってきています。

今までグローバル展開をしてきた企業においても、グローバル全体でビジネスを進めるために、各国個別の ERP を利用していたものを統一する方向に至った流れと同様で、今後は保守サービスにおいても同様の流れが発生すると考えています。

ビジネスはバリューチェーンで繋がっているため、保守サービスだけ異なる保守サービス管理ソフトで管理しているのではチェーンが切れて、高い顧客満足度を獲得するのは難しくなります。
特に高額な機器や設備においては、いくら良い製品を販売しても保守サービスに満足いただけなければ、リピートしていただくことは難しいです。このため、保守サービスの改革は、製造業にとって収益拡大、顧客獲得、維持のために残された重要な業務エリアとなっています。

欧米の経営者は比較的古くから、この分野への投資の意欲や理解を持っていますが、日本はどちらかといえばまだまだ消極的で、製造・販売と保守サービスを個別に考えられている傾向が強いです。

保守サービス管理ソフトについて

日本でも多くの保守サービスは提供されており、保守サービス会社は各社で管理ソフトを開発するなどして管理を実施されています。

しかし、単に作業実績を管理するだけの物になっている所も多く、SCM の一部として基幹システムと連携されていないのが実状です。例えば、現場では紙ベースでの作業記録を行い、携帯電話で作業開始と終了を報告するもの、客先からオフィスに戻ってから、作業報告をPCに入力するものなどです。

そのような環境の中で、作業品質は依然として保守要員の技量に依存していました。
つまり、レベルの低い人は保守が完了できず何度も訪問を繰り返したり、あるいは上位エンジニアに頻繁に電話でやり取りをして助言をもらうなど、非効率な面がありました。

これが、グローバル企業となると、保守品質の均一化をグローバルでいかに担保していくかという事が、販売拡大の命題になります。
グローバルに展開するには、保守履歴・技術情報の多言語化、それらの DB 化、アクセスツールとしてのモバイルの活用、これら保守活動の結果を請求につなげる仕掛けなど、検討すべきことが多々あります。

今後 SAP が提供する  SAP FSM は、ERP 領域と保守サービス業務の連携を実現する主要ツールになります。

弊社と SAP FSM の関連について

2011年に、弊社のグループ会社である proaxia consulting ag (スイス)が、Coresystems 社 が提供していたクラウドサービスの coresuite (現 SAP FSM)と SAP ECC を連携するための ECC Connector の開発・導入を開始しました。

これに伴い、Coresystems 社との proaxia グループとの協力関係が始まり、coresuite (現 SAP FSM) を日本に展開するために日本語化などの作業に関わるようになり、現在では日本での SAP  FSM の拡販や導入支援などを担当しております。

SAP FSM とは

SAP Field Service Management
https://www.sap.com/japan/products/field-service-management.html

SAP FSM はクラウド上で提供されているサービスで、「保守が必要な設備」を販売されているお客様の保守作業全般を支援します。

突発保守が発生した場合の初動はとても大切です。
依頼を受けた要求が保守契約の範囲内かどうか判断し、自社要員またはパートナー要員を迅速に派遣して、適切な修理交換パーツを用意し顧客に向かい、類似の修理情報を活用して、短時間で保守を終えることによって、顧客満足度を向上させることが出来ます。

SAP FSM は、これらのプロセスをご支援します。
また、proaxia consulting ag の開発した ECC Connector を利用することで、SAP ECC や S/4HANAと連携することができます。これにより、SAP CS (Customer Service) から発行されるサービスチケットを起点としてサービスを開始し、サービス終了後の実績や請求情報を SAP に連携することができるようになります。

SAP と連携することの利点とは

保守プロセスを最適化するためには、保守契約・設備設置・技術情報といった情報が不可欠です。
加えて保守部品調達および在庫の最適化プロセスも考慮して最適化するのであれば、ERP およびその他関連システムと連携する必要があります。

保守サービスで一番大事なのは、突発保守発生時の初動になります。初動を早め、的確なアクション(作業)をおこなうためには、顧客の設備・設置場所・保守契約情報・必要なソリューションを理解しておく必要があります。また、保守要員を迅速に派遣するためには、事前の顧客情報の把握・製品情報・保守情報との連携が必要になります。

そのためには、これらの情報を企業内の複数部署(設計・開発・製造・設置・保守部材)を横断して連携させる必要があり、それを提供することができるのが SAP ECC , S/4HANA + SAP FSM です。
保守サービスの実績・履歴から製品開発・設置施工へのフィードバックループが再発を防止し、顧客の満足度を下げるリスクを排除することにつながります。

保守サービスの改革(DX)を進めるには

保守サービスを実施するのは、製造、販売を行う会社とは別会社であることも多く、投資がされにくいビジネス領域でした。昨今の上流のプロセスの改革に伴い、保守サービスがバリューチェーン全体のボトルネックと映るようになってきました。

今まで紙ベースでこなしていた保守サービスの世界を DX 化するには、IT 主導よりも保守ビジネス業務を含めたバリューチェーン全体でプロセスの見直しを行う必要があります。
このため、保守子会社単独で改革を実現することは厳しいので、親会社の命題を受けてプロセス見直しを行うプロジェクトを発足させることが推進のポイントになると思います。

今後の保守サービスの展望について

IoT が浸透してきていることもあり、設備や機器からリアルタイムに多くの情報を取得できるようになってきました。
これにより、障害発生時の早期検知だけでなく、収集した情報から故障予測を行えるようになってきています。これまでの突発対応と定期保守だけでなく、予兆管理を行うことにより保守サービスコストを最適化し、顧客の販売機会ロスを最小化することができます。

また、お客様自身によるセルフサービス型の保守や、外部リソース(ギグワーク)を利用した保守サービスモデルが今後浸透してくることが想定されます。
これらのサービスデリバリーモデルを活用することで、より細かなサービス提供ができるようになり、顧客の満度向上・リピート獲得・長期取引を実現するための近道になります。

保守サービスの DX に興味がある方に

将来の保守サービスのあるべき姿のご検討や企画についても弊社でご相談に応じることが可能です。
ご興味のある方は、是非コンタクトをお願いいたします