【エンジニアブログ】SAPソリューション紹介 FI(財務会計)/DME(支払媒体書式)

プロアクシアコンサルティングでビジネスソリューション事業部に所属しています A.W です。
今日は、SAP FI (財務会計) 支払処理時の任意フォーマットでのデータ出力について紹介したいと思います。

これまでの経歴について

私は SAP コンサルタントとして、財務会計領域をメインに約18年間携わっています。それ以前は物流システムの構築や、生産計画パッケージのコンサルタントなどをしており、システム構築の中ではロジ領域が主担当でした。

そのため、当初は MM モジュールのトレーニングを受講したことがありました。これが財務会計領域の担当でも、上流のシステムの流れをある程度把握できることに役立っています。

今回のテーマを選んだ経緯について

SAP ERP はグローバルの様々な国や業界のノウハウが盛り込まれたパッケージシステムで、標準機能として様々な拡張の手段が用意されていますが、これら拡張機能の実装手段の情報は入手することが難しく、ましてや機能の存在そのものが知られていないことも多くあります。

その結果として、本来なら標準機能で実現可能な要件を、アドオンと呼ばれる追加開発で対応しているケースは往々にしてあるのではないでしょうか。そこであまり知られていない標準機能の一つとして、今までの経験で印象が深かった支払処理時の任意フォーマットでのデータ出力を紹介したいと思います。

SAP ソリューション:DME (支払媒体書式)

DMEE (Data Medium Exchange Engine)、DME Tree は、カスタマイズメニューでは支払媒体書式と表記されています。

これは債務管理での主要機能の一つである支払処理を実行することで、支払媒体書式で定義したフォーマットのファイルが作成できるというものです。データファイルの形式には flat ファイル (固定長、可変長いずれも可能) の他に、xml ファイルも作成できます。

DME (支払媒体書式) を利用することで、アドオンプログラムを開発する事無く、任意のフォーマットで支払データファイルが作成できます。かなり以前から用意されている機能ですが、S/4HANA でもカスタマイズメニューにあるため現在も利用可能です。

プロジェクトでの実装事例について

15年ほど前に、SAP ERP 導入企業の海外子会社保守のプロジェクトに参画していた時に DME を利用しました。ヨーロッパ の子会社で、特定の金融機関 (日本の銀行の海外現地法人) への銀行振込データを銀行指定の形式でデータファイルを SAP で作成したいという要件でした。

アドオン開発でなく SAP 標準機能で対応できないかということで色々と調べたところ、この支払媒体書式を利用すればできそうだということが分かりました。ただ、巷に DME の知識を持っている SAP コンサルタントはおらず、またフォーマットファイルの定義方法に関する情報もないため、機能調査を含めて実現までに時間がかかる課題がありました。

それでも、機能の品質や将来的な保守性を鑑みて、SAP 標準機能で実現するという方針になり、定義方法調査から取り組みました。

実装にあたって苦労したこと

DME フォーマットの定義方法を把握するにあたっては、SAP 標準で実装されていた日本の国内銀行振込のフォーマットの定義内容を参考にしました。

しかし、定義方法が複雑だったことに加えて、新たなフォーマット追加に備えて設定手順のドキュメントも作成しながらの作業になり長期間を要しました。また、海外子会社との要件確認やテストに関するやり取りは、すべて英文メールで行う必要があったためコミュニケーション面でも非常に苦労しました。

DME利用のメリット

フォーマットの定義方法は複雑で実装の難易度は高いですが、それを除いては実現までのコスト・期間や品質、保守性ともアドオン開発より優れています。

ぜひ、支払処理において新たなフォーマット定義が必要になった場合には、DME の利用をご一考してみて下さい。

実装方法について

最後に実装方法についての紹介ですが、本ブログでは概略のみの紹介とします。
詳細を知りたい方は、SAP Blogs で紹介されていますのでこちらをご参照下さい(全編英語です、、、)。

DMEE Configuration:Step By Step Part 1 | SAP Blogs
DMEE Configuration:Step By Step Part 2 | SAP Blogs

以下の2ステップで設定します。
STEP1:支払媒体書式の登録
STEP2:国別支払方法で支払方法に支払媒体書式を割り当て

支払媒体書式の登録

【IMG メニュー】
財務会計\債権管理及び債務管理\会計トランザクション\銀行支払\自動銀行支払\支払媒体1\支払媒体ワークベンチの支払書式\登録支払媒体書式(クライアント非依存)

  • 支払媒体書式をクリックし、起動された画面の 「プログラム制御」 にある、DME エンジン使用によるマッピングをチェックオンします。
  • さらに DME エンジンのボタンをクリックすると書式の定義画面が表示されます。
  • 書式ツリーは、1つのレコードレイアウトだけでなく、複数のレコードレイアウトを含めた構造として定義することができます。
  • 1つのレコードレイアウトごとに、項目 (属性・桁数・SAPが保持する情報 (マスタやトランザクション、支払プログラム内での独自データなど) または定数や計算式などで設定値を記述) を定義します。

国別支払方法で支払方法に支払媒体書式を割り当て

【IMG メニュー】
財務会計\債権管理及び債務管理\会計トランザクション\銀行支払\自動銀行支払\支払プログラム用の支払方法/銀行選択\設定:支払取引の国別支払方法

  • 国別の支払方法で、支払媒体ワークベンチの使用をラジオボタンでオンにします。
  • 書式に上記で定義した支払媒体書式を割り当てます。

ちなみに日本 (JP) の場合、支払方法:T (銀行振込) では、支払媒体で 「以前の支払媒体プログラムを使用(RFFO*)」 のラジオボタンをオンにして支払媒体プログラム RFFOJP_T、印刷データセット名 LIST3S が割り当てされています。

支払媒体書式で日本全銀協規定国内振込支払フォーマットは定義されていますが、デフォルトでは未使用の設定になっています。